中間選挙と政治不安がもたらす二重相場の行方

2026年の米国中間選挙を前に、市場はじわじわと“政治の重さ”を意識し始めている。
とりわけ暗号資産は、政治の揺れに最も敏感なアセットの一つだ。規制、税制、議会構成、そして大統領のスタンス。これらの要素が複雑に絡むこの領域は、選挙の影響を避けて通れない。

中間選挙を迎えるこの一年、暗号資産は上がりきらないのか。
むしろ下落に向かうのか。
それとも逆に、政治不安によってビットコインだけが“買われる”のか。

ここには、単純な強気・弱気では語れない、二重相場の構造が存在する。


■ 中間選挙が近づくほどに「暗号資産は上がりにくくなる」

まず大前提として、私はこう考えている。

中間選挙前後、暗号資産市場全体は上がりにくく、むしろ大きく下落する可能性がある。

理由は明確だ。

① 規制見通しが不透明になる

米国議会が共和・民主どちらの手に渡るかで、

  • ETF承認プロセス

  • 取引所規制

  • 税制の方向性

  • 政府機関の主導権(SEC vs CFTC)

がガラッと変わる。

市場が最も嫌うのは「不透明さ」であり、それだけで資金の一部は退避する。

② 政治的分断が深まり、市場のリスクオフ化が起きる

2024〜2026年の米国政治は、過去最高レベルの分断を抱えている。
選挙はもはや政策の争いではなく、「国の形」をめぐる戦争のような様相だ。

こうした環境では、最初に売られるのは必ず“未来期待で買われている資産”。
暗号資産のうち特にアルトコインはこのカテゴリーに属する。

③ 投資家は「一度全部売って様子を見る」

議会がねじれ、仮想通貨フレンドリー政策が止まる可能性が出れば、
先物勢も機関投資家も、
「じゃあ一度キャッシュにして様子見」
となる。

結論として、
暗号資産全体としては下落しやすい。

私はこのシナリオは十分にあり得ると考えている。

しかし──話はここで終わらない。


■ だが「政治不安」はビットコインを“買わせる”

ここからが本題だ。

暗号資産市場全体は弱くなる。
だが ビットコインだけは別の動きをする可能性が高い。

その理由は、ビットコインが今や

“非主権アセット”として扱われ始めている

からだ。

ニュースでは見落とされがちだが、

  • 米国の政治リスク

  • 国家債務の膨張

  • インフレの長期化

  • ドルの信認への疑念

このような「国家単位の不安」が生まれると、
資金は以下の3方向に逃げる。

  1. 金(Gold)

  2. 国債

  3. ビットコイン

そう、ビットコインはもはや
株式でもテック株でも成長資産でもなく、
“政治不安ヘッジ” の枠に片足を突っ込み始めている。

中間選挙が近づき、アメリカの政局が不安定さを増すほど、
実はBTCには資金が流れやすいように思う。


■ 「暗号資産は売られるが、BTCは買われる」という矛盾

ここ数年で、暗号資産市場では大きな変化が起きている。

暗号資産(アルト)の下落 ≠ ビットコインの下落

という構造だ。

たとえば…

  • アルトは規制の影響をモロに受ける

  • NFT・DeFiは政治リスクに弱い

  • SOLやETHは成長資産としての側面が強い

これらはすべて「リスク資産」だ。

しかしビットコインだけは

  • 機関投資家の保有比率増加

  • ETFからの継続的な買い

  • 国家レベルの保有

  • 債務と通貨不安のヘッジ需要

こうした背景が加わり、独立した存在になりつつある。

つまり、

“暗号資産市場が崩れても、BTCは下がらない(むしろ上がる)”

という逆相関的な動きがあり得る。

これは金と株式の関係に近い。

株式市場が崩れると金が買われるように、暗号資産が崩れてもBTCが買われる日が来るかもしれない。


■ 私自身の結論:中間選挙は「二重の動き」を生む

ここまでを踏まえて、私の見立てはこうだ。

● 1. 暗号資産全体

→ 中間選挙前後は「下落リスク大」
→ 政治の不透明さで資金が抜ける

● 2. ビットコイン

→ むしろ買われる可能性
→ 政治不安・インフレ・通貨不安ヘッジとして評価が上がる
→ アルトと切り離されていく

結論として、

暗号資産は下がるかもしれないが、
ビットコインは別の理由で買われる。

ここを正しく理解しておくと、
次の大きな動きに備えやすくなる。


■ これからの戦略:BTCを軸にしつつ、余白を残す

私自身、資産管理の基本は次の通りだ。

  • BTC:政治リスク・通貨リスクヘッジとして保持

  • ETHやSOL:成長アセットとして抑え気味に保有

  • 安定資産(ステーブルやドル):行動の自由度を確保

  • シンガポール株:比較的安定かつ高配当でキャッシュインフローを獲得

これは、市場がどちらに転んでもある程度ダメージを吸収できると踏んでいる。

たとえば:

  • 暗号資産全体が崩れた → アルトの買い場

  • 政治不安でBTCだけ上がる → 保有資産が評価上昇

  • 選挙後の政策が明確になったら再配置

このように、「二重相場」にも柔軟に動ける。


■ ビットコインの価値は政治が決める時代へ

暗号資産市場はいつも“内部要因”で語られがちだ。

  • 新しいL1がどう

  • トークンのバーンがどう

  • ETFのフローがどう

  • 技術革新がどう

確かにそれらも重要だが、
今後もっと重要になるのは、

“政治がどう動くか”

という点だ。

とりわけアメリカが揺らげば揺らぐほど、ビットコインの価値は相対的に上がる。

中間選挙はまさにその象徴的なイベントと言える。

暗号資産は上がりきらないかもしれない。
しかしビットコインは、違う理由で上がるかもしれない。

しかし、この二重構造こそが、これからの市場を読み解くうえでの「核心」だと私は思っている。