最近よく思うことがある。
「いくら稼ごう」と考えること自体は、決して悪いことではない。むしろ、稼ぐと本気で決めなければ、そこに至る道筋を考えることすらできない。
人は、目標対象や目標金額を明確にすると、自然とそこまでの道を逆算し始める。
どんな資産を持つのか、どれくらいの期間が必要か、どんなリスクを取るのか。
その過程で、必要な知識や行動も見えてくる。
だから、「このくらい稼ぎたい」という目標設定自体は、とても重要だと思っている。
ただし、目標や目標金額が低いと、そこが“天井”になる
一方で、こんな感覚もある。
いくら稼ごう、と考え、その金額に到達するまでは耐えよう、努力しよう、と決めることで、そこまでは到達できる。
しかし、その金額を超えたあたりから、なかなか先に進めなくなる。
なぜか。
それは、その金額が自分の中でのゴールになってしまうからだ。
たとえば「資産1億円」を目標に描いている場合を考えてみる。
どの株をどれくらい持てばいいのか、どのくらいの利回りが必要なのか、何年かかるのか。
こうしたことを真剣に考えれば、1億円に到達するための道筋は、かなり具体的になる。
だが、その思考は基本的に「1億円に到達するため」のものだ。
1億円を超えた世界については、ほとんど考えていない。
結果として、1億円に近づくにつれて、無意識にブレーキがかかる。
「もう十分ではないか」「ここまで来たのだから、あとは守りに入ろう」そうした感情が自然と出てくる。
1億円と10億円は、まったく別の世界
1億円と10億円は、単なる数字の違いではない。
そこには、考え方そのものの違いがある。
1億円を目指す思考は、比較的「積み上げ型」になりやすい。
給与、投資、節約、複利。
これらを組み合わせて、現実的に到達できるラインとして1億円が設定されることが多い。
一方、10億円を目指す場合、同じやり方ではほぼ届かない。
レバレッジの使い方、投資の内容、事業、スケール、再現性。
そもそも「どこで価値を大きく生むのか」という視点が必要になる。
つまり、描く金額が変わると、思考の次元が変わる。
10億円を描いて道を考えていると、1億円はゴールではなく、ただの通過点になる。
「ここで止まる理由がない」という状態になる。
だから、目標金額は、思っているよりも上を描いておいた方がいい。
到達するかどうかは別として、思考の枠を広げるためにだ。
高い目標は、行動を変える
目標金額を高く設定すると、行動の質が変わる。
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小さな最適化より、大きな構造を考えるようになる
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時間の使い方にシビアになる
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「やらないこと」を明確にするようになる
低い目標だと、細かい改善に意識が向きやすい。
高い目標だと、「そもそもこの行動は意味があるのか?」という問いが生まれる。
この差は大きい。
実際に10億円に到達するかどうかは重要ではない。
10億円を描いて思考すること自体が、1億円止まりを防ぐ。
ただし、必ず出てくる「時間との天秤」
ここで忘れてはいけないのが、時間の問題だ。
時間は有限だ。
そして、お金を稼ぐには、必ず相応の時間を使うことになる。
目標金額を上げれば上げるほど、
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考える時間
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動く時間
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リスクに向き合う時間
これらは増えていく。
そこで必ず問い直す必要がある。
そのお金は、本当にその時間を投じてまで必要なのか?
これは、極めて重要な問いだ。
不必要な金額を稼ぐために、人生を使っていないか
お金は確かに選択肢を増やす。
安心も自由も買える。
だが、あるラインを超えると、お金そのものが人生の目的になってしまう危険もある。
「もっと上を目指せばいくらでも稼げる」
「ここまで来たなら、もう少しだけ」
その「もう少し」の積み重ねが、気づけば人生の大半を占めてしまうこともある。
高い目標を描くことは大切だ。
だが同時に、
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家族との時間
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健康
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自分が本当にやりたいこと
これらと天秤にかける視点を失ってはいけない。
金額目標は、人生目標と切り離せない
本来、いくら稼ぐかという話は、どう生きたいか、という話とセットで考えるべきものだ。
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どんな生活をしたいのか
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どれくらいの自由があれば満足なのか
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何に時間を使いたいのか
これらが定まっていないまま金額だけを追うと、終わりのないゲームに入りやすい。
逆に、人生の軸が定まっていれば、「ここから先は、もういい」という判断もできる。
高く描き、冷静に選ぶ
まとめると、こういうことだと思う。
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目標金額は、思っているより高く描いた方がいい
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高い目標は思考の次元を引き上げる
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低い目標は、そこが天井になりやすい
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ただし、時間との天秤は常に意識する
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不必要な金額のために人生を使わない
「1億円を目指す」のが悪いわけではない。
ただ、1億円しか描いていないと、1億円で止まりやすい。
だから、もっと上を描く。
その上で、
自分にとって、どこで十分なのかを冷静に決める
これが、一番健全な金額目標の持ち方だと思っている。
高く描け。
ただし、人生まで差し出すな。
そのバランス感覚こそが、長く納得して生きるための鍵なのではないだろうか。