手残り率で選ぶ、国際移住と税制のベストプラン

税制を軸に「どの国に住めば最も手残りが多くなるか?」という視点は、グローバル富裕層にとって極めて実践的な問いです。実際、課税後にいくら手元に残るか(=手残り率)で見ると、選ぶべき国はかなり絞られてきます。


💰 概算手残り率比較(各国・年収別)

ポルトガル イタリア シンガポール モナコ マルタ 日本
$400,000 42.0% -5.0% 57.50% -25.00% 65.00% 25.00%
$500,000 48.0% 16.0% 66.00% 0.00% 72.00% 29.00%
$600,000 52.0% 30.0% 71.67% 16.67% 76.67% 31.67%
$700,000 54.9% 40.0% 75.71% 28.57% 80.00% 33.57%
$800,000 57.0% 47.5% 78.75% 37.50% 82.50% 35.00%
$900,000 58.7% 53.3% 81.11% 44.44% 84.44% 36.11%
$1,000,000 60.0% 58.0% 83.00% 50.00% 86.00% 37.00%
$1,100,000 61.1% 61.8% 84.55% 54.55% 87.27% 37.73%
$1,200,000 62.0% 65.0% 85.83% 58.33% 88.33% 38.33%
$1,300,000 62.8% 67.7% 86.92% 61.54% 89.23% 38.85%
$1,400,000 63.4% 70.0% 87.86% 64.29% 90.00% 39.29%
$1,500,000 64.0% 72.0% 88.67% 66.67% 90.67% 39.67%
$1,600,000 64.5% 73.8% 89.38% 68.75% 91.25% 40.00%
$1,700,000 64.9% 75.3% 90.00% 70.59% 91.76% 40.29%
$1,800,000 65.3% 76.7% 90.56% 72.22% 92.22% 40.56%
$1,900,000 65.7% 77.9% 91.05% 73.68% 92.63% 40.79%
$2,000,000 66.0% 79.0% 91.50% 75.00% 93.00% 41.00%
$2,100,000 66.3% 80.0% 91.90% 76.19% 93.33% 41.19%
$2,200,000 66.5% 80.9% 92.27% 77.27% 93.64% 41.36%
$2,300,000 66.8% 81.7% 92.61% 78.26% 93.91% 41.52%
$2,400,000 67.0% 82.5% 92.92% 79.17% 94.17% 41.67%
$2,500,000 67.2% 83.2% 93.20% 80.00% 94.40% 41.80%
$2,600,000 67.4% 83.8% 93.46% 80.77% 94.62% 41.92%
$2,700,000 67.6% 84.4% 93.70% 81.48% 94.81% 42.04%
$2,800,000 67.7% 85.0% 93.93% 82.14% 95.00% 42.14%
$2,900,000 67.9% 85.5% 94.14% 82.76% 95.17% 42.24%
$3,000,000 68.0% 86.0% 94.33% 83.33% 95.33% 42.33%
$3,100,000 68.1% 86.5% 94.52% 83.87% 95.48% 42.42%
$3,200,000 68.3% 86.9% 94.69% 84.38% 95.63% 42.50%
$3,300,000 68.4% 87.3% 94.85% 84.85% 95.76% 42.58%
$3,400,000 68.5% 87.6% 95.00% 85.29% 95.88% 42.65%
$3,500,000 68.6% 88.0% 95.14% 85.71% 96.00% 42.71%
$3,600,000 68.7% 88.3% 95.28% 86.11% 96.11% 42.78%
$3,700,000 68.8% 88.6% 95.41% 86.49% 96.22% 42.84%
$3,800,000 68.8% 88.9% 95.53% 86.84% 96.32% 42.89%
$3,900,000 68.9% 89.2% 95.64% 87.18% 96.41% 42.95%
$4,000,000 69.0% 89.5% 95.75% 87.50% 96.50% 43.00%

1.ポルトガルは金融所得を念頭に28%。生活費120,000ドルを計上
2.イタリアは定額税20万ユーロ+資産課税を考慮。生活費150,000ドルを計上
3.シンガポールは金融所得は基本無税。生活費160,000ドルを計上
4.モナコは無税。生活費500,000ドルを計上
5.マルタは国外から国内へ送金した資金に10%課税。生活費分を送金したと想定。生活費は110,000ドルを計上
6.日本は累進課税と住民税、他税などで税率55%を想定。生活費は80,000ドルを計上


シンガポール・ドバイ・マルタは“手残り率”で突出

収入が年間300万USD程度までであれば、手残り率の観点からは以下の国々が圧倒的に有利です。

  • シンガポール:キャピタルゲイン・配当・海外所得非課税、実効税率も低い。生活の利便性も抜群。
  • ドバイ(UAE):完全無課税。イスラム圏文化だが富裕層には多国籍・欧米型ライフスタイルが浸透。
  • マルタ:非ドム制度により、外国源泉所得を送金しない限り非課税。温暖な気候で欧州に位置。

この3カ国は、税制の恩恵を受けた状態での生活を前提とすれば、”物価が高い”とはいえむしろ**“税を払わずに生活コストで払っている”**ような感覚で、極めて合理的な支出に感じられます。


税コスト=ゼロ、利便性は最高──シンガポールを選んだ理由

私自身はこの中でシンガポールを選びました。

確かに、家賃も教育費も外食も高めです。ですがそれ以上に、税金を少額に抑えてこの水準のインフラと安全、教育環境が得られることが驚異的です。

  • コンドミニアムは快適でジム・プール付きが標準。
  • ローカルフードから日本食、欧米料理まで揃っており、食に困ることがない。
  • 教育環境も多国籍で国際バカロレア校なども選択肢に入り、将来の進学にも有利。
  • 空港や医療インフラも世界有数のクオリティ。

いまの私にとって、シンガポールは最もバランスの取れた“節税×生活満足度”を提供してくれる場所です。


所得が300万USDを超えたら──イタリアやモナコも現実的に

仮に年間の課税所得が300万ドルを超えるようになった場合、次に候補に挙がるのが:

  • イタリアの定額課税制度(20万ユーロ)
  • モナコ(完全無課税)

です。これらは生活コストは高い(特にモナコ)ものの、税制面では依然として優秀。

  • イタリアでは20万ユーロ以上課税されることがなくなるため、収入が大きくなるほどお得。
  • モナコは生活コストが年間数十万ユーロかかりますが、それが”税の代わり”であると考えれば割り切れます。

いずれも、シンガポールやドバイに比べると手取り率はやや落ちますが、この収入水準までくると“誤差”の範囲とも言えます。


日本は手残りの上昇率が鈍化

最後に日本。

残念ながら、日本では総合課税が適用される所得(給与・事業・利子など)がメインの場合、 最高税率がすぐに適用され、手取りの上昇が鈍化していきます。

累進課税+社会保険料+住民税を合算すれば、50%以上の手残りが削られる水準にもなり得ます。

これでは、稼げば稼ぐほど税率が上がり、資産形成のインセンティブがそがれるという状態です。


税制は“人生そのものの設計”に直結する

税金は“コスト”であると同時に、“選択可能な条件”でもあります。

だからこそ、手残り率という視点で移住先や拠点を選ぶことは、資産形成だけでなく、人生の自由度を広げる強力な手段になります。

収入300万ドルまではシンガポール・ドバイ・マルタ。そこから先はイタリアやモナコも選択肢に入れる──

このような構造的な視点をもつことが、国際時代の資産戦略の本質と言えるでしょう。