1. 非居住者に関する暗号資産取引の報告制度の整備
① 報告義務の詳細
- 対象者: 2026年1月1日以降、暗号資産交換業者(取引所など)を通じて取引を行う非居住者が対象です。
- 報告内容: 非居住者(特定法人とその支配者を含む)は、以下の情報を報告しなければなりません。
- 氏名または名称
- 住所または本店所在地
- 居住地国
- 居住地国が外国の場合、納税者番号その他必要な事項
- 報告期限:
- 取引を行う際に報告が必要です。
- 2025年12月31日時点で既に取引を行っている場合は、2026年12月31日までに報告が必要です。
注釈
- 報告暗号資産交換業者等: 暗号資産交換業者、電子決済手段取引業者(電子決済手段を発行する者を含む)、および一定の金融商品取引業者を指します。
- 暗号資産等取引:
- 暗号資産や電子決済手段の売買
- 他の暗号資産との交換
- これらの行為の媒介
- 暗号資産の移転や受入れに係る契約の締結を含みます。
- 報告方法: 届出書は電磁的方法(電子形式)でも提出可能です。
- 営業所の責務: 届出書に記載されている事項を確認する義務があります。
② 居住地国等の変更時の異動届出書
- 対象者: 既に①で届出書を提出した非居住者が対象です。
- 報告内容: 居住地国が変更された場合、新しい居住地国その他必要な事項を記載した「異動届出書」を提出しなければなりません。
- 提出期限: 変更が発生した日から3か月以内に、報告暗号資産交換業者(取引所など)の営業所に提出する必要があります。
- 再度の変更: 異動届出書を提出した後に再度変更が発生した場合も、同様に届出を行う必要があります。
③ 報告暗号資産交換業者等の責務
- 異なる情報を取得した場合: 報告暗号資産交換業者が、届出書や異動届出書に記載された居住地国等と異なる情報を取得した場合の対応についてです。
- 対応手順:
- 異なる情報を取得した日から3か月以内に、その情報が正しいかどうかを確認するために、当該非居住者に異動届出書の提出を要求します。
- 非居住者が要求に応じず異動届出書を提出しなかった場合、取得した情報に基づいて実際の居住地国を特定します。
- 再度の情報取得: 異動届出書の提出要求または居住地国の特定を行った後に、再度異なる情報を取得した場合も同様の手続きを行います。
④ 年次報告の義務
- 報告対象: 暗号資産交換業者が、その年の12月31日時点で取引を行った非居住者(外国の金融商品取引所に上場されている法人等を除く)について報告しなければなりません。
- 報告内容:
- 特定対象者の氏名または名称
- 住所または本店所在地
- 居住地国
- 居住地国が外国の場合、その国における納税者番号
- 暗号資産の種類ごとの名称
- 売買の対価の合計額、総数量、件数
- その他必要な事項
- 提出期限: その年の翌年4月30日までに、電子情報処理システム(e-Tax)または光ディスク等で所轄税務署に提出する必要があります。
注釈
- 報告対象契約: 以下の者が締結している契約です。
- 一定の国または地域(報告対象国)を居住地とする者
- 報告対象国以外の国や地域を居住地とする法人で、その実質的支配者が報告対象者であるもの
⑤ 記録の作成と保存
- 記録義務: 暗号資産交換業者は、特定対象者の居住地国に関する事項およびその他必要な事項の記録を作成し、保存する必要があります。
⑥ 罰則の設定
- 不提出や虚偽記載への対応: 届出書等を提出しなかったり、虚偽の記載をした場合、または報告事項を提供しなかったり、虚偽の記載をした場合に対する罰則が設けられます。また、報告制度の実効性を確保するために必要な措置が講じられます。
⑦ 自動的な情報提供制度の整備
- 制度の整備: 外国居住者等に係る暗号資産取引情報を自動的に提供するための報告制度が整備されます。
⑧ その他必要な措置
- 追加措置: 上記の他にも、報告制度の実効性を確保するために必要な追加措置が講じられます。
① 報告金融機関等の見直し
- 範囲の拡大: 報告金融機関の範囲に、新たに以下の業者を加えます。
- 電子決済手段等取引業者
- 特定電子決済手段等を発行する者
- 特定電子決済手段等:
- (イ) 資金決済に関する法律第2条第5項第1号から第3号に掲げる電子決済手段
- (ロ) 物品等の購入代金の支払いに使える財産的価値(特定の通貨建資産に限り、電子決済手段、有価証券、前払式支払手段等を除く)で、電子情報処理組織を使って移転できるもの
- 収入割合要件の見直し: 投資法人等に係る収入割合の計算基礎に、暗号資産等に対する投資に係る収入金額を含めるようにします。
② 特定取引の範囲の見直し
- 特定取引の追加: 以下の取引を特定取引の範囲に加えます。
- (イ) 特定電子決済手段等(①イ(注)(イ)に掲げるもの)の管理に関する契約
- (ロ) 特定電子決済手段等(①イ(注)(ロ)に掲げるもの)の発行による為替取引に関する契約
- 取引の除外条件:
- 取引を行う者が、取引に係る特定電子決済手段等の90日移動平均値が100万円を超えない場合、当該取引は特定取引から除外されます。
- 報告義務の免除:
- 報告金融機関は、特定取引を行う者の特定電子決済手段等の90日移動平均値がその年中に100万円を超えなかった場合、当該取引に関する契約について報告する必要はありません。
- 追加取引:
- 暗号資産、電子決済手段、電子記録移転有価証券表示権利等の預託に関する契約
手続の実施
- 既存取引の手続: 報告金融機関等は、2025年12月31日以前に特定取引を行った者について、既存の特定取引手続と同様の手続を実施する必要があります。
③ 社債、株式等の振替に関する法律の改正
- 特定取引から除外される範囲: 振替特別法人出資に係る特別口座の開設に関する契約が特定取引から除外されます。
④ 特定法人から除外される法人の収入割合要件
- 収入割合要件の見直し: 法人の収入割合の計算基礎に、暗号資産(暗号資産デリバティブ取引を含む)に係る所得が含まれます。
⑤ 双方の居住者の取り扱い
- 双方居住者の取り扱い: 日本と租税条約相手国の双方の居住者に該当する者については、租税条約の振分けルールに関わらず、双方を居住地国として取り扱います。
⑥ 新規特定取引に係る特定手続の見直し
- 手続の見直し:
- イ: 報告金融機関は、2026年1月1日以降、特定取引を行う者が届出書を提出しなかった場合、既存の特定取引と同様の手続きを実施しなければなりません。
- ロ: 特定対象者に関する変更があった場合、必要な情報を取得するための措置を講じる必要があります。
⑦ 報告金融機関による報告事項の提供の見直し
- 報告対象外となる者の範囲: 外国金融商品取引所に上場している法人等と一定の関係がある組合等が報告対象外となります。
- 報告事項の範囲の見直し:
- (イ): 新規届出書が提出されているかどうか
- (ロ): 特定取引に係る契約が複数の者との間で締結されているかどうか
- (ハ): 特定法人とその実質的支配者との関係
- (ニ): 契約者と報告金融機関との関係(組合契約に関するもの)
- (ホ): 特定取引の種類
- (ヘ): 新規特定取引か既存特定取引か
⑧ その他必要な措置
- 施行日: 上記の改正は2026年1月1日から施行されます。
もう1つ、別のまとめ方。
非居住者に係る暗号資産取引情報の自動的交換のための報告制度
- 報告義務の詳細
- 開始時期: 2026年1月1日以降
- 対象者: 日本の暗号資産交換業者と取引を行う非居住者
- 報告内容: 氏名、住所、居住地国、納税者番号などを記載した届出書を提出
- 提出期限: 取引開始時(2025年12月31日時点で取引を行っている者は2026年12月31日まで)
- 情報変更時の手続き
- 対象者: 既に届出書を提出した非居住者
- 提出内容: 新しい居住地国などを記載した異動届出書を提出
- 提出期限: 居住地国が変更された日から3ヶ月以内
- 情報が異なる場合の手続き
- 金融機関の対応: 届出書の内容と異なる情報を取得した場合、3ヶ月以内に異動届出書の提出を要求
- 提出がない場合: 取得した情報に基づいて居住地国を特定
- 年次報告の義務
- 報告内容: 氏名、住所、居住地国、納税者番号、暗号資産の取引内容など
- 提出方法: e-Taxまたは光ディスク等
- 提出期限: 翌年4月30日まで
- 記録の作成と保存
- 義務: 特定対象者に関する情報を記録し、保存
- 罰則
- 対象: 届出書の不提出や虚偽記載、報告事項の不提供や虚偽記載
- 自動的な情報提供制度の整備
非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の見直し
- 報告金融機関の範囲拡大
- 対象追加: 電子決済手段取引業者、特定電子決済手段等を発行する者
- 特定取引の範囲拡大
- 追加内容: 特定電子決済手段の管理や発行による為替取引に係る契約
- 除外取引の条件
- 条件: 90日移動平均値が100万円を超えない取引は除外
- 報告義務の免除
- 条件: 90日移動平均値が100万円を超えない場合、報告不要
- 新規特定取引の手続き
- 手続き: 2026年1月1日以降、新規特定取引に関する届出書が提出されなかった場合、既存手続きと同様の手続きを実施
- 報告事項の提供見直し
- 追加内容: 新規届出書の提出状況、契約が複数の者との間で締結されているかなど
その他の措置
- 施行日: 2026年1月1日から
これらの規定は、日本の報告金融機関や暗号資産交換業者が非居住者の取引情報を適切に収集・報告し、税務当局が国際的な税務情報を共有するためのものです。